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「メアリー、あなた、今のこの状況分かってる?」
「え? この状況? だから、ジョンがエミリア先輩よりあたしの事を愛してしまったから、あたしと結婚したいジョンがエミリア先輩に離婚して?ってお願いしてる状況ですよね? あれ? エミリア先輩こそ、この状況理解出来てますか?」
ジョン同様、メアリーからも悪びれた様子は窺えない。
困ったように小首を傾げ、わざとらしい疑問の表情の上に、人を小馬鹿にした笑みが重なっている。
「……あなたね……。人の夫と不倫しておきながらその態度は無いんじゃないかしら?」
「え?でも……。エミリア先輩って確か、もうすぐ30歳になるんですよね?」
「それがどうしたっていうの?」
「あたしは、まだ23歳で〜す」
少女のような愛くるしい笑顔に片目を瞑り、自らの年齢を告げるメアリー。彼女にあって私に無い、『若さ』を私へ見せつけるように。
私は眉を顰め、苛立ちを込めた低い声を響かせた。
「あなた、一体何が言いたいの?」
するとメアリーは、あっ、といった表情で私を指差した。
「あ!また恐い顔!やだ〜。 ねぇ、ジョン。 エミリア先輩がまた恐い顔であたしを睨む〜。ジョンからもエミリア先輩に何か言ってやって?」
メアリーはわざとらしく弱々しい声でジョンの腕にしがみつくが、その顔には勝ち誇ったかの様な薄ら笑いを浮かべ、見下すような目で私を見つめていた。
ジョンは私の方へ睨むような鋭い視線を向けてきた。
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