第一話

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「可哀想なエミリア先輩。でも、仕方ないですよね。より若くて、より可愛い女に男が靡くのは極々自然の事ですから。特に、村一番の美女と謳われる私とエミリア先輩みたいなオバサンとでは比較対象にすらなりませんよ」  『村一番の美女』――メアリーが自身をそう称した通り、確かに、メアリーはこの村で一番の美女として名が通っている。    そんなメアリーと私が一緒に働くようになったのが今から5年前。当時私が25歳でメアリーが18歳だった時だ。  私はメアリーの教育係として時には厳しく、時には優しく、私なりに愛を持って接していたつもりだった。しかし、上からものを言われる事を極端に嫌うメアリーにそれが伝わるはずもなく、日を追うごとに私へ対して、不遜な態度を極めていった。  当時の私は自分で言うのもなんだが、男性受けが良い方で、既婚者だったにも関わらず、同じ職場の男性数人からアプローチを掛けられていた。  正直、私はその状況を疎ましく思っていたのだが、その状況がプライドの高いメアリーの自尊心を刺激してしまう事となった。
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