第一話

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自身の容姿において絶対の自信を持つメアリーは、自分以外の存在に対し、男の視線が向くのがどうしても許せなかったらしく、私に好意を持つと睨んだ男性に対して根も葉もない私の悪い噂を吹き込んだ。  その後はメアリー自慢の色仕掛けによって、その男性の私へ対する好意はメアリーへと逸れる事となり、そうした結果をわざわざメアリーが私へ報告しにやって来るまでが一連の流れだった。  『あの人、てっきりエミリア先輩の事が好きだと思ってたんですけどね〜。実はあたしの事が好きだったみたいで〜。なんか、すみませんでした〜!でも仕方ないですよね!エミリア先輩も多少はモテるのでしょうが、さすがにあたしと比べられちゃあ、形無しですからね〜』  その後、メアリーは自身の心象が悪くならないよう、その男性とは一応恋人同士として立ち回るが、最終的には適当な理由をつけてポイと、メアリーからその男性は捨てられる事となる。そんな事をメアリーは幾度となく繰り返している。  でもまぁ、そもそも私はその時既に既婚者だったから、メアリーのそういった行動に対して特に何を思う事もなかった。  でも、まさかメアリーのそんな魔の手が夫であるジョンにまで及ぶとは、さすがの私も驚かされた。  いくら住む村が一緒とはいえ、元々ジョンとメアリーの交流は全く無かったはずだ。  メアリーの私へ対するこの執着は一体なんなのか。私への勝ち気が凄すぎる。
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