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「な、このあたしにブスですって!?」
「あんたみたいな性悪女なんかより、お母さんの方が100倍可愛い!!」
「こんのッ、クソガキがぁ――」
メアリーは赤目を見開き、怒りからまるで悪魔のような顔つきでアリアに向かって平手打ちの構えを取った。
「――ッ!?」
「やめなさい。 私の娘に指一本でも触れてみなさい? 殺すわよ?」
私は振りかぶったメアリーの手を掴み、殺意を込めた目でメアリーを睨んだ。
「…………」
私から出る本気の殺意に怯んだのか、メアリーはやや眉を下げ、表情を歪めた後、私から視線を逸らした。そして私はジョンの方を向いた。
「分かったわ。あなたからの離婚の申し出、喜んで受け入れるわ。その代わり、アリアが成人、もしくは結婚するまでの養育費はちゃんと支払ってもらいますから」
私がそう言うと、ジョンはゆったりとした動作で顔の前で両手を組むと、その上に顎を乗せ、口を開いた。
「僕は平民だ。そんな金は無い」
――バカが。
まるで貴族のような素振りからの、自分は平民だ発言。バカ過ぎて清々しくすらある。
この2人には何を言っても無駄だと思った私は娘のアリアを連れて家を出たのだった。
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