君と登山する理由

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「すごーい!」 と頂上にようやく辿り着き見たことのない景色を共に眺めていたのは門倉の連れのミクというアラサーの歯科衛生士だった。 登山未経験丸わかりのこの日のために揃えた登山ウエア、装備、靴。何度か足を囚われて汚れてはいるが怪我はなかった様子で息を切らしてもハイペースな門倉になんとか追いついてたどり着いたようだった。 「ミクちゃんは本格的な登山初めてだよね」 と門倉は言うとミクはハイと言いながらもお茶をがぶ飲みしていた。 「すごい、体力あるね。あと何回か山に登ればもっと高いところにも行けるし」 ミクはそんなぁ、って感じで首を横に振る。彼らは友人の結婚式の二次会でたまたま会って遊ぶようになった。 まだ仕事帰りの夜にしかご飯を食べていない。休日は門倉が山に登るからと言ってなかなかスケジュールが合わなかったが、門倉がだったら登る? と冗談半分で聞いたらミクが登山未経験なのにも関わらずに装備も揃えて一緒に登ったのである。 「数回のデートで山デートってハードだよね? でも君はこうして一緒に着いてくれた。俺は嬉しいよ」 「でもどうして登山デート? 私素人よ。別に私は悪くはないけどさ……普通なら足手纏いになるから登山なんてやめなよって言うよね?」 ミクは近くにあった切り株に座る。景色に魅了されているようでぼーっと見ている。 「ん? なぜ登山デートにしたかって? それはね……」
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