42人が本棚に入れています
本棚に追加
新生活12
「衣純、いーずーみ」
「ん……」
テーブルに突っ伏して、寝ちゃってた。肩を揺するのは、「いつでも頼れよ」って言ってくれた手。これから毎日、この手がそばにあるんだ。いつか、お義父さんって呼んだりするのかな……。
「ふふっ」
「機嫌がいいのは結構だが、ざっとでいいから風呂入ってこい。お湯ためといたから」
「んー……、あ、もうこんな時間」
「残ったことはまた明日やればいいさ。今日はとにかく、ちゃんと寝るまでがお前の仕事だ」
「はぁい」
ぽやぽやと、まだ半分眠ったような状態でお風呂場に向かった。
お湯の温度も量も、私の好みだ。付き合ってた約半年の間に、私の何もかもを知って、今も覚えてくれてる。
「スパダリってやつ? かっこいいのは昔からだけど。うーん、でもイメージとしては榊さんこそスパダリで、先生は何ていうか」
どこか精神年齢が私と近いような、子供っぽくて安心するような、そういうところがある。
「振ったのは私なのに、な……」
ぽつんと呟いた声が、頼りなく響いた。
最初のコメントを投稿しよう!