新生活12

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新生活12

「衣純、いーずーみ」 「ん……」  テーブルに突っ伏して、寝ちゃってた。肩を揺するのは、「いつでも頼れよ」って言ってくれた手。これから毎日、この手がそばにあるんだ。いつか、お義父さんって呼んだりするのかな……。 「ふふっ」 「機嫌がいいのは結構だが、ざっとでいいから風呂入ってこい。お湯ためといたから」 「んー……、あ、もうこんな時間」 「残ったことはまた明日やればいいさ。今日はとにかく、ちゃんと寝るまでがお前の仕事だ」 「はぁい」  ぽやぽやと、まだ半分眠ったような状態でお風呂場に向かった。  お湯の温度も量も、私の好みだ。付き合ってた約半年の間に、私の何もかもを知って、今も覚えてくれてる。 「スパダリってやつ? かっこいいのは昔からだけど。うーん、でもイメージとしては榊さんこそスパダリで、先生は何ていうか」  どこか精神年齢が私と近いような、子供っぽくて安心するような、そういうところがある。 「振ったのは私なのに、な……」  ぽつんと呟いた声が、頼りなく響いた。
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