新生活14

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新生活14

 ここからは、夢の中。なぜって、私は先生とあのアパートにいて、バスタオルを巻いただけでベッドに座ってる。  クリスマス・イブ。お母さんは仕事。友達はみんな、彼氏と過ごしてる。前に先生と二人で教室で話した時、イルミネーションの穴場を教えてもらった。それを見てみたくて、初めての駅に降りて、ちょっと迷って。  たどり着いたそこは、噴水のある公園。ベンチがふたつ。ほかには何もない。木々に張り巡らされた色とりどりのランプが点滅してる。噴水の水に映って、まるで万華鏡の中にいるみたい。 「綺麗……」  雪が降ってきたけど、構わなかった。どこからともなく舞い降りる雪は、虹色の光の粒。くるくる踊って、時々ひらりと私の肩に着地する。雪と、光と遊んでいるような気がして、飽きることなく見上げていた。このまま虹色の雪の中に溶けていったら、先生と離れずに済むのかな……。  今年からうちの学校に来て、担任になった天城先生。フルネームがやたらかっこいいの。天城恭一郎だって。顔もかっこいいし、背も高くて、女の子たちの注目の的。男子からも人気がある。授業は厳しいけど、分かるとちゃんと褒めてくれる。優しいけど、優しいだけじゃない。あったかい人だな、って思った。
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