2.プラスにしてくれるプラバンヘアゴム

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「喜んでくれる人を……想像することか」  何だかそれも難しそうだけど、「失敗しないで完璧なものを作る」よりはできそうな気がした。 「ジュース持って来るから作業台に座ってて」 「お!ジュース!」  巧が目を輝かせた。全く……巧は遠慮ってものを知らないのか? 「それで?俺達は何を作ればいいんだ?」  オレンジジュースを誰よりも早く飲み干しながら巧が言う。 「プラバンアクセサリーを作ろうと思うの」  また聞きなれない単語に僕は首を傾げる。木村さんも困った顔をしていた。 「プラ……バン?」 「プラスチックの(いた)のことだよ。まあ、私のところのは普通のプラスチックじゃないんだけどね……」  藤咲さんがさらっと気になることを小声で言う。ということは……今回の作品もまた何かしら魔法がかかっているんだろうか。  藤咲さんはプラバンのイメージが湧かない僕らの前に作品を持ってきてくれた。 「こんな風に、パーツを作ってアクセサリーにするの」  そう言って藤咲さんの手の中にあったのは星のモチーフがかわいらしいヘアゴムだった。確かに星のパーツはプラスチックみたいだけど……どうやって作ってるんだろう。プラスチックの板をこんなに綺麗に加工できるもんなの? 「あの……かわいいけど、私こんなすごいの作ったことないよ……」  木村さんが自信なさそうに、小さな声で言う。 「大丈夫!誰でも簡単に作れるから!皆でやってみよう。楽しいよ!」 「プラバンか……。面白そう!」  僕は腕まくりをして、作業台に座り直した。  よーし。今日も作るぞ!
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