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先の男子生徒らも、その群衆の一人となってクラス分けの結果を眺めていたらしい。その結果にひとしきり喜んだ彼らは、隣り合って、自身の与えられたクラスへ移動した。
彌生も自分のクラスを見ようと思って黒板を見たが、人の名前が多すぎてどこに自分の名前があるのかまるでわからなかった。
まずは目についた真ん中の紙を見る。
しかし、自分の名前は見つからない。
仕方がないので右隣の紙を見る。
しかし、自分の名前は見つからない。
そのまた右隣を見る。
しかし、名前は見つけられなかった。
一人、また一人、と群がる生徒たちが、紙に記された自身の名前を見つけては、クラスに向かう。そんな様子をなんど見送ったことだろう。
気がつけば、紙を睨んでいるのは彌生一人になってしまった。
どうしよう。自分の名前がとんと見つからない。
「何してんだ、さっさと移動しろ。」
彌生が焦っていると、背後から声がかけられた。振り返ると、黒いスーツを見にまとった男がこちらを見下ろしていた。
「……自分の名前が見つけられんのです」
「あ?」
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