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やはり、会話はそこで途切れた。
ちゃっちゃか決まったクラスの役割決めに、九条は満足気である。
九条は「じゃあもう解散するか。解散!」と言って、教室を出ていった。
学生生活一日目は、あっさりと終わった。
「ヤヨイくん、朔弥くん、いっしょに帰ろ?」
英加が優しい提案をしてくれた。
内村はギョッとした顔で英加を見た。
内村は英加と二人きりで帰るつもりだったらしい。
「ぼくはええけど、朔弥くんは?」
「……おれも、問題ない」
「やった! って宏輝、何先に帰ろうとしてんの!」
内村は彌生たちを置いて帰ろうとしていたが、寸前で英加に見つかり、カバンを取り上げられていた。
内村はかなり不満気だ。おそらく、英加と二人で帰りたいのだろう。
そのくらいは彌生にもわかった。
英加と内村が親しいことは、今日一日でしっかりと理解した。
断ればよかったかなぁと彌生は少し後悔した。が、承諾したものは仕方がない。
内村には、今日だけは我慢してもらおう。
「お前らだけで帰ればいいだろ」
「ヤダ。宏輝もいっしょ!」
彌生も英加に釣られるように、言葉を口にした。
「ぼくも内村と一緒に帰りたい…」
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