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などなど、彌生なりに頑張って岸江との会話を続けた。
英加たちと合流する直前まで、彌生は持ち合わせの雑談ネタをすべて使い切る勢いで岸江に話しかけていた。
岸江はワンテンポ遅れるものの、彌生の質問に真摯に答えてくれていた。
変な人だが、悪い人ではないのかもしれない。
それが、彌生の岸江に対する印象だ。
「ヤヨイくん、お家どこ?」
「今は学園寮に住まわしてもろてる」
「へぇ!」
英加が楽しそうに相槌を打った。
英加が何か話そうと口を開いたとき、頭上から低い声が降ってきた。
「……俺も、学園寮だ」
朔弥の声であった。
「サクヤくんも! わぁ。いつか二人の部屋にお泊まり行きたいなー! ね、宏輝も行きたいよね!」
「俺は別に」
「なんだよー。学園寮だぞー。興味ないのー?」
「ない」
「むぅ( ˘•ω•˘ )」
彌生たちは、楽しい談笑をしながら帰路をたどった。
帰路の途中、彌生と岸江、英加と内村の二人になって、別れる道に来た。
英加と内村に手を振って、彌生は岸江と学園寮までの道のりを歩く。
岸江は彌生の短い足に合わせて、ゆっくりと歩いてくれていた。
「朔弥くん、好きな食べ物なに?」
彌生は秘技、雑談「好きな食べ物なに?」を発動した。
「……梅干し」
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