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扉を開けると、ガランとした空間がそこにあった。
これから一緒に暮らす人物はまだ部屋にたどり着いていないらしい。
彌生は、部屋の中心にある荷物を見つけ、近寄った。
オレンジのキャリーケースと、ダンボールが四つ。キャリーケースを彌生は持ってきた記憶がないので、これは同室のものだろうと判断し、ダンボールに手をかけた。
ダンボールには、義兄の字で、『日用品を買い揃えておいた』とあり、開封すると、衣類や洗剤がまとめて入っていた。
なるほど、これらが一人暮らしには必要なのか。
彌生は頭の片隅にメモをとった。
こんな大荷物が、部屋の中心にずっとあるのも邪魔だろうと考え、彌生はこれらを移動させることにした。
とはいえ、移動させる先がない。
彌生は周囲を見回して、茶色いドアを三つ見つけた。
一つは、彌生が入ってきたところからすぐ右手にあり、もう二つは部屋の奥に、並ぶようにあった。
おそらく、あれが自室というやつだろう。
彌生はそう判断して、近づくと、背後の扉が開き、人が入ってきた。
「あ。もういるよ、ハル」
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