36人が本棚に入れています
本棚に追加
現れたのは、可憐な見た目の男子生徒だった。
「ホントだ。早いね、シュン」
彌生は目を見張る。
それは、部屋に入ってきた可憐な男が、二人いたからだ。
彼らは二人そろって靴を脱ぎ、二人そろって彌生の前に立った。
彌生は、二人がそっくりな見目であることにも驚いた。が、寮の部屋は各二名づつ配置されると聞いていたので、二名現れたことにも驚いていた。
何かの間違いか……?
「ビックリしてるね、シュン」
「ビックリしてるね、ハル」
彌生が困惑していると、彼らは顔を見合わせて、彌生の様子を見ながらくすくすと笑った。
「このままからかう? ハル」
彌生から見て右の男が、いたずらっ子のような顔をしてこちらを見た。
「それはやめよう、シュン。まずはご挨拶、でしょ?」
「それもそうだね、ハル。ご挨拶しよう。じゃあハルからどーぞ」
「いやいや、シュンからどーぞ」
「えぇ」
右の男が、いやそうな顔をする。左の男がそれを諌めた。
「ほら、ご挨拶して」
右の男は彌生を見ると、ふと柔らかい笑みをつくって挨拶をした。
「諏訪家の嫡男、諏訪春人と申します」
「同じく。諏訪家の次男、諏訪晴人と申します」
最初のコメントを投稿しよう!