序章 学生生活のはじまり

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「お前ら、空いてる席に着け。これから入学式の説明をする」  男はそう言って、彌生の手を離し、しっしっと追い払う動作をした。  彌生は席に目を移し、空いている一番前の席に腰掛けた。  茶髪の男子生徒も後ろには空いている席がなかったのか、前に移動してきて彌生の隣の席に座った。  生徒の着席を確認した男は、目を細め、先ほどより少し声を張り上げて話し始めた。 「俺はこれから一年、担任を務める九条(くじょう)雅章(まさあき)だ。担当教科は数学。今から入学式の説明をするからよぉく聞いておけ。」  ──しばらく、九条の説明が続いた。  九条は説明を終えると、質問はないかと生徒たちに尋ねた。  生徒は頑なに口を閉ざして、沈黙によって答える。  九条は数秒待って、では放送があるまで自由にしておけと言い残し、廊下に出て行った。
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