序章 学生生活のはじまり

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 彌生は二人組のうち、明るそうな印象を持った男子生徒に話しかけられた。  話しかけられたことが嬉しくって、彌生は微笑みながら名乗った。 「じゃあ、ヤヨイくんって呼ぶね。おれのことは、英加(えいか)とか、七是(ななせ)とか、好きに呼んで。」 「なら、英加って呼ぶわ」 「うん! よろしくね。あとね、ヤヨイくんの前にいるのが内村(うちむら)宏輝(こうき)って言って、おれの幼なじみ」  英加に紹介された内村は、途端に不機嫌そうな顔になった。 「勝手に色々教えるな」 「いいじゃん。減るもんじゃないし」 「個人情報だ」 「名前なんて、どうせあとから知られるんだから今紹介しても変わんないよ」 「なら今紹介しなくても別によかったんじゃないか」 「なんだってぇ?」  二人の痴話喧嘩が始まった。  彌生はその小気味のよさに、愉快になって自然と笑みがこぼれた。  肩も震えていたみたいで、それに気がついた内村が訝しげに彌生を睨んだ。 「何がおかしい」 「いや、仲良しなんやなぁとおもて。これからが楽しみで笑ってもた。お二人ともよろしくなぁ」
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