36人が本棚に入れています
本棚に追加
彌生は二人組のうち、明るそうな印象を持った男子生徒に話しかけられた。
話しかけられたことが嬉しくって、彌生は微笑みながら名乗った。
「じゃあ、ヤヨイくんって呼ぶね。おれのことは、英加とか、七是とか、好きに呼んで。」
「なら、英加って呼ぶわ」
「うん! よろしくね。あとね、ヤヨイくんの前にいるのが内村宏輝って言って、おれの幼なじみ」
英加に紹介された内村は、途端に不機嫌そうな顔になった。
「勝手に色々教えるな」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「個人情報だ」
「名前なんて、どうせあとから知られるんだから今紹介しても変わんないよ」
「なら今紹介しなくても別によかったんじゃないか」
「なんだってぇ?」
二人の痴話喧嘩が始まった。
彌生はその小気味のよさに、愉快になって自然と笑みがこぼれた。
肩も震えていたみたいで、それに気がついた内村が訝しげに彌生を睨んだ。
「何がおかしい」
「いや、仲良しなんやなぁとおもて。これからが楽しみで笑ってもた。お二人ともよろしくなぁ」
最初のコメントを投稿しよう!