あと一回……

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あと一回……

 あと一回、星が流れたら。君に想いを伝えよう。流星群を見るんだ!と張り切って真夜中のピクニックに出掛けてきたのに、早々に寝入ってしまった君。「願い事たくさん叶うね!」とはしゃいでいた。俺はもう一人で十個は見たよ。君の健康と幸せを何度も祈った。眩しくてたまらない存在。  いつまでも子供だと思っていたのに、この夏は急に大人びて、俺をドキッとさせるようになった。来年はもう、ほかの誰かと星を見ているんだろうな。  でも、もしも。この気持ちをぶつけていいなら。受け入れてくれるなら。心のどこかでほんの少しでも、俺を一人の男として見てくれるのなら。 「諦めない。逃がさない……」  俺の膝を抱きしめるようにして、あどけない顔でくぅくぅと眠っている。髪を撫で、指先で頬に触れてみる。それ以上は――今は、まだ。  あと一回、星が流れるまでの間は、今までどおり兄と弟のような関係でいよう。  こんなに静かな気持ちで共に夜を過ごせるのは、これが最後かもしれない。
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