混沌の海へ

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 男と女の性差について語ることは、完全にタブー視される世の中になった。性的マイノリティーやトランスジェンダーも含め、いや含めなくとも、実にいろんな男がいて、いろんな女がいるものだ。  だから黒崎花がさっきから、ぐるぐるぐるぐる考えていることなんて、まるっきりナンセンスなのかもしれなかった。  それでも例えば、AとBがいて、AとBがどう違うのか、なぜAはAであり、BはBなのか考えてしまうのは、人間の(さが)であり、根本基本の部分だと思うのだ。  AとBが違うと認識しなければ、すべての物事は混沌の海に沈むだろう。それはきっと獣の世界だ。
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