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友達を選ぶのはわたし
そしてその年の暮れ、ヒロミの葬儀の案内状が届いた。
夫からの精神的虐待を苦にした自殺。葬儀に出席した彼女の友人は私しかいなかった。
もしもヒロミが、あと一回人生をやり直せても、同じ結末になっていたような気がする。
同じく私も⋯⋯。
あと一回友達を選び直せても、この過程は必ずどこかにあったと思う。
人の縁が前世からの因縁によるものなら、「友達は選びなさい」なんて無理な話で、出会うべくして出会ったのだと言えるだろう。
たらればを繰り返して、未練と後悔を引きずってきた私がそう思うようになったのは、ヒロミの遺物であるフクと家族になってからだ。
フクはいつも奇抜で斬新で既視感がない。
この子には前世からの因縁を感じない。
だからこうも思う。
あと一回ヒロミと出会ったら、私はちゃんと友達になるだろう。
そしてヒロミは自殺し、フクを私に遺すだろう。
パパもママも否定すると思うが、私は出会うべくして出会う友達を選んでいた。
あと一回、別の人生を選んでいたらフクには出会えなかった。
それを一期一会というんじゃないかと思う日々が、未練と後悔によるあと一回を私から消し去った。
独身貯金ゼロ恋人なしの現状は、ここからここからの気持ちで変えていけば良い。
何かを始めるのに遅いことはないし、マイナスからでも人は立て直せる。
スタートラインに立ったと思って、何かを成し遂げた人生にしてやるのさ。
招き猫が味方だもの。
開運招福は約束されている。
そう、あと一回なんて言い訳はやめて、ここからここから、頑張ってゆくのだ。
(号砲)
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