*光*

2/4
前へ
/111ページ
次へ
「ただの幹部への嫌がらせ。元から百山・御子柴派とそれ以外に分かれていたし、それ以外の連中には明確なリーダー格は不在で同じ幹部でも立場が低めだったんだ。そいつらをオレが創った共存派に入れ込んでまとめ上げた」  玖藍は退魔術師の実力としてかなり上位であり、体質的にも逃走されると面倒だと思われており、勝手に派閥を作ったところで誰も文句は言えない。共存派に入った連中からすれば、玖藍を後ろ盾に百山・御子柴派と渡り合えるという打算があった。  玖藍としては百山・御子柴派に対する嫌がらせの意味合いで創ったに過ぎず、共存云々は正直どうでも良い。狸爺どもよりは悪魔のフウの方が断然マシだと思えば共存もアリなのかもしれない、程度には考えていたが。 「最期にオレが自死の術で死んだら、オレを殺した手柄をやるっていう約束したら、喜んで共存派に入ってくれたよ。だからね、どうでも良い連中の中に友であるお前を入れる気は更々なかった、ただそれだけ」  友と呼びながらも友情などという目に見えない不確かなものを玖藍は信じ切れない。悪意は腐るほど見て来たし与えられもしたが、純粋な好意は向けられたことがなかった。それ故に根は脆いというより、自分に執着が持てなかったという方が正しい。取り繕うことばかりが上手くなって、自己愛も他者を信用する心も遠い昔に捨て去ってしまった。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加