ケンちゃん

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「おい! ブス起きろ腹減った!」  怒鳴り声がして目が覚めた。横を向くと、愛しい彼が見下ろしている。いつもの風景。 「おはようケンちゃん」  ちゅっ! 「うわやめろ! むぎゅっ!」 「あはは、ケンちゃんは可愛いね」  ちゅっ! ちゅっ! ちゅっ! 照れ屋で可愛いケンちゃんにいっぱいキスをした。  耳元で抗議を聞きながら、ぎゅって抱きしめてケンちゃんの頭をなでなでする。しばらく後頭部をすーはーすーはーして堪能したので、ケンちゃんをベッド横のナイトスタンドの上に戻した。  さて、朝ご飯を作ろうか。携帯ガスコンロを出し、フライパンに油をひき、卵二つを割って入れる。本当は水を入れてふたをするんだけど、フライパンのふたがないから、そのまま卵がジュージュー焼ける音を聞きながら待った。 「またスクランブルエッグかよ」 「今日は目玉焼きだよ、っとできた!」  フライパンから皿に目玉焼きを移動させる。一つ黄身が破れて中身が出てしまったので、それを私のにしよう。
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