ケンちゃん

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 一分くらいたって静かになったから引き上げた。 「ケンちゃん……?」  寝ちゃったかな? 夜ご飯になったら起こしてあげよう。タオルで自分の体とケンちゃんを拭いて、服を着替えた。テーブルの上にケンちゃんを置いて、リュックから肉を取り出した。  肉を引き裂いて食べた。ああ、違う違う。調理しないと。疲れてるな。赤い髪の毛を頭皮からベリベリと剥いて、目玉と歯を取って、鍋に肉とミネラルウォーターを入れて携帯ガスコンロの火にかけた。目玉をしゃぶりながら、肉に火が通るのを待った。  ああ、いい匂い。 「あちっ!」  思わず鍋の中の肉を触ってしまった。いけないいけない。出来上がるまで待たないと。それにしても、どうしてこんなにおいしそうなんだろう。涎をじゅるりと啜った。  そういえば、ケンちゃんはまだ起きてない。ケンちゃん、おいしそう。おいしそうなケンちゃん。
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