ケンちゃん

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 焼き芋の皮のようになった顔の皮をずりずりと引きはがして、上を向いて口を開けてむしゃむしゃと頬張った。おいしい。我慢できなくなって、ケンちゃんにガブリと噛みついた。そのまま歯で肉を引き裂いて貪り喰らう。  おいしい、おいしい、おいしい、おいしい。おいしい、おいしい、おいしい。ああ、ジューシーでとろけるような排泄物と汚物の混じった腐肉の味わい。がぇ! 舌を噛んだ。痛い。いや、もっと痛いのは後頭部。何だこれ? 額から鉄の匂いと赤い血が垂れてきて、ぺろりと唇を舐めた。あれ?  気が付くと、私は横向きに倒れていた。私の手から転がり落ちたケンちゃんは、しばらくコロコロと床を転がった。
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