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「ふふ」
「なんだよ気持ち悪いな」
ケンちゃんの唇についたソースを指で拭った。
「幸せだなぁ……って」
ああ、本当に幸せだ。一ヶ月前だったら考えられないくらい。ケンちゃんとこうして一緒に、和やかに食卓を囲んでいる。ケンちゃんは、もう、私を殴ることはない。
だって、ケンちゃんの拳はもうないから。ケンちゃんを持ち上げて食後のキスをする。私を殴る拳も、私を蹴る足も、私が寝ているときに襲ってきた●●●も、ない、生首だけのケンちゃん。最高のケンちゃん。私だけのケンちゃん。
「ケンちゃん、ねぇ、ケンちゃん。大好き。愛してる」
ギュッと抱きしめて、後頭部で思いっきり深呼吸する。
「……て、……やる」
「ん? なに聞こえなーい」
テーブルの上にケンちゃんを置くと、ケンちゃんは私を睨みつけていた。かわいいね。
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