ー晴ーこれでよかったんだ

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「話があって来た」 優大さん、なんでわざわざ来たんだ。 また嫌味でも言ってくるのか。 今、1番会いたくなかった人。 出来るならもう関わりたくない。 真希にとっては優しい恋人かもしれないが、俺にとっては嫌な人だから。 まあ、初対面の時に喧嘩売ったわけだし、嫌われて当然なんだけどね。 「単刀直入に言うけど、真希ちゃんともう関わらないで」 そうだよな、多分この気持ちは普通じゃない。それは嫌という程、理解してる。だから決めたんだ。 メモ用紙に返事を書く。 『言われなくても そのつもり すまなかった』 それを見た優大さんは怒りの感情をぶつけてきた。胸ぐらを掴まれて、殴られそうなところで手が止まった。 「迷惑だって分かってんなら最初から馬鹿やるなよ!お前のせいで、真希ちゃんは一生自分を責め続けるんだ! 彼女をまるで分かってない! どんな思いしてるか考えてみろ! 」 見られてる眼差しが鋭い。心がズキズキするくらいの、冷たい視線。 真希。俺が全部悪いのに、自分を責めるなんて。 なんてことをしてしまったんだ。 「そんな顔しやがって。お前、ふざけるのも大概にしろ。次、真希ちゃんに接近したらただじゃおかないから」 痛いほど分かってるよ。 もう近づく事さえ許されないって。 優大さんが怒るのは、それだけ真希に対して真剣だからだ。 愛されてるんだな。 俺が入る隙すらなかったんだ。 もっと早く理解していれば良かった。 前、藍来の時に言われた言葉を思い出す。 ーーあっくんは真希ちゃんにとって必要ないと思うけどなーー そうだ、彼女にとって要らない存在だったんだ。 本当は分かってた。でも、否定し続けないと狂ってしまいそうで怖かったんだ。 彼女を思う気持ちが溢れてしまって、悲しいけれど自分自身に笑ってしまった。 必要とされてなくても、愛してる。 この気持ちが果てるはずもなく、死ぬまで背負って生きていくしかない。 いや、諦めの悪さは死んだって変わらないだろう。 真希、どうか俺の居ない世界で幸せになってくれ。 心から願ってる。 ふと窓の外を見ると、雨だった。 俺の今の気持ちと同じ。 目を閉じると、彼女の笑顔が浮かんでくる。 どうしようもない真希への思いを、何もかも流してくれたらいいのに。気持ちは、ほんの少しですらも流れずに涙が溢れた。
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