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「じゃあね、彩香ちゃん。ちゃんと戸締りしなよ」
帰ろうとすると彼女がまた抱きついてきた。
突き放して睨みつける。本当に止めてほしい。
僕は真希ちゃんと付き合ってるから、他の女の子に興味ない。
「あたし、やっぱり優大さんが好き。助けてくれてありがとうございました 」
「無理。君と仲良くなんてしたくないから」
冷たい態度で言い放った。それなのに彩香ちゃんは気にしてないのか笑ってる。
何でこのタイミングでその表情なのか、妙に引っかかる。
「ぜーったい、あたしのものになりますよ」
「ならないから」
そう返事して帰ったけど呆れる。
人のものを奪いたくなる気持ちは分からなくはないけど、いい迷惑。
第一、何で僕なの？ 相手なら別に誰でもいいでしょ。
彼女は咲き誇って群青のファンだって言ってたけど、本当に好きなわけじゃないと思う。
自分の好みのタイプだったから、とかそんな理由だろうな。
今日はなんだか、いつもより疲れたな。
真希ちゃんから返事がない。寂しいな。それに不安だ。
気がつくと朝になっていた。
連絡を待ってる間に寝てしまったみたい。
着信音が聞こえる。メッセージアプリからだ。
誰かと思ったら、快先輩から。
何だろう？
「はい、もしもし。快先輩、どうしました？」
『おい！ お前、君島彩香と付き合ってんのか？ 』
もしもしも言わずにいきなり何を言ってるんだか。
「まさか、僕には真希ちゃんだけですよ。彩香ちゃんはドラマで共演してるだけです」
『そうか、優大。テレビとか、ニュース見たか』
「見てないです。今、起きたばっかりなので」
『とりあえず、真希ちゃんに連絡しとけ。心配かけさせんなよ』
「分かりました。ちゃんと連絡します」
電話を切ったけど、疑問が残る。
とりあえずテレビのニュースを付けてみた。
『君島彩香と柊優大熱愛か』
は？ 熱愛？ もしかして昨日のやつ撮られてたのか？
スマホを見てみると、お泊まりだの何だの。
ありもしない内容が書かれていた。
真希ちゃんからメッセージがきた。
『酷いよ 別れよう さよなら』
彼女、報道を鵜呑みにしてるんだ。
誤解を解こうと、メッセージや電話をしてみたけど全く反応がない。
迂闊だった。どうにかしないと。
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