ー真希ー壊れていく

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ー真希ー壊れていく

優大君に裏切られた。 他の女性と親密な関係になっていたなんて。 お泊まりまでしてた。 この人なら大丈夫って思ってたはずなのに。 信じられない。酷いよ。 私、優大君の彼女じゃなかったの? 芸能人の女性の方が魅力的に感じるのかな。 もう要らなくなったんなら、そう言えばいいのに。 もう、嫌。 藍来が言っていた言葉を思い出す。 ーー絶対に、優大は真希を傷つけるーー その通りだ。優大君を好きにならなければ…… 言う通りにすればよかったんだ。 護ってくれるのは藍来だけだったのに、他の人と付き合ってしまったのが間違いだった。 その藍来だって、もうブレスレットに宿っていない。 2度と戻ってきてくれないよね。 あんなに思ってくれてたのに。 もう大切にしてくれる人はどこにも存在しない。 辛い、凄く辛い。 もう誰も支えてくれない。 心がぐちゃぐちゃになってしまった。 もう、ひたすら壊れるしかない。 何もかも狂ってしまえばいい。 だから、ハル君…… 「そこで何やってるんですか」 もしかして、見られてた? きっと気のせいだ。だってそんな訳ない。 「あの、これは違うんです忍さん」 私がハル君のストーカーをしてるなんて、バレてないよね。 偶然、居合わせただけ。そう、ハル君に会いに来たんじゃない。だから何も悪くないの。 「ここだとあれなんで、ちょっと場所を変えません?」 え、やっぱり見られてたんだ。どうしよう。 言い訳したら、変に思われる。 でも、何か言わなくちゃ。警察に連れてかれる。 嫌だ怖い。間違ってるって分かってる。 でも、私忘れさられたくない。 「警察に言うつもりなんですよね。私、私……」 「言わないんで、話を聞かせてくださいよ」 忍さんに見つかってしまった。 もう何もかも終わりだ。 「オレん家で悪いんですけど、ついてきてください。他の所で話出来るような内容ではないので」 言われるがまま、ちょっと離れた駐車場に停めてあった忍さんの車に乗った。 着くまでの間、ずっと沈黙で耐えられなかった。 だって話そうにも何を話したらいいの? 「とりあえず上がってください」 「お邪魔します」 どうしよう。怒られるに違いない。 悪さしてるんだから、仕方ないよね。 ハル君とは関わるなって言われても、すぐには納得できない。ごめんなさいをしたいのに。 「で、真希さん。何でストーカーなんてしてるんですか?」 私は泣きながら話した。 優大君のスキャンダルが原因で関係が悪くなったこと。 ハル君への行き場のない思いをストーカー行為で満たそうとしてたこと。 嫌がらせしてるのはハル君を嫌ってるんじゃなくて 自分の存在を忘れてほしくなかったから。 今思えば他の選択肢だってあったかもしれない。 でも、こうするしか方法が思いつかなかった。 それを聞いた忍さんは、何故か笑っていた。 「何で笑ってるんですか?」 「だって真希さんの弱みを知ってしまったから」 私があまりにもおかしいから笑われてしまったんだ。 「ねぇ。関係を持ってくれません? 」 「え? 」 「というか、なれよ。オレの女に」
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