ー優大ー残ったもの

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ー優大ー残ったもの

真希ちゃんの前では笑顔見せたけど、本当は悲しい。 負けたよ。晴には。 あいつの弱さを全て受け入れるなんて、真希ちゃんは優しすぎる。 死ぬほど羨ましい。僕もいつか情熱的に人を愛したい。 来てしまった。またいつもの所に。 海を見つめると、思い出す。 真希ちゃんと出会った時、メッセージアプリの楽しいやり取り、告白して付き合ってくれたあの笑顔。 全部が忘れられない。 でも友達に戻らなきゃね。 結構本気だったんだ。 ここまでなったの、あの人以来。 昔ここで出会った彼女を思い出した。 年上で好きとはいってくれるものの、本気にしてくれなかった。 だって、その人は結婚してたから。 許されない恋。叶うはずもない。 それなのに深みにはまってしまう。 どうして僕じゃないんだって何度、思っただろう。 最終的に振られてしまった。 もう会えない、子供がお腹の中に居るの。そう告げられた。 最低だけど、その子供の親が自分ならよかったって。 避妊はしていたから無理だと分かってる。 本当に好きになった相手が人妻とか笑うしかないよね。 でも僕なりに愛されたくて必死だった恋だったんだ。 真希ちゃんを好きになった時、やっとまともな恋愛が出来るようになったんだって嬉しい気持ちだったのに。 正しい恋愛の仕方が分からない。 大切に思われたいのに、いつも上手くいかない。 いつしか恋にマジになるのは馬鹿らしいって考えるようになって一夜限りの恋愛しか求めなかった。 本当、晴はいいよな。 真希ちゃんは真面目だからいい子だし。 繊細だから護ってやらないとだけど。 あいつ、本気に幸せにできるんだろうか。 真希ちゃんには幸せになってもらいたい。 だから、そのために身を引くとかかっこいい感じじゃないけど、一生懸命に真希ちゃんを大切に思ったんだ。 でも形を変えてしまうね。 これからは恋人として、ではなく友達としてだ。 出会てよかったよ。だって人を好きになるあたたかい気持ちを教えてくれたから。 これからもずっと、この気持ちを忘れない。 海が優しく、僕の心を癒してくれるような気がした。
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