ー晴ー 一生をかけて

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ー晴ー 一生をかけて

ふと気にしてみると、桜が咲き誇っていた。 出会いと別れが交差する、切ない季節。 自宅のベランダから見える桜、これからは一緒に見るんだ。   真希と今日から同棲を始める。 これからについて話し合いしたら、一緒に住みたいと言ってくれたから。 気分が舞い上がるところではあるが、落ち着くべきだ。でも、顔がにやけてしまってる。 この溢れる気持ちを抑えきれない。 「ハル君、なんか落ち着きないね。大丈夫? 」 この思いを言葉にしてちゃんと伝えたい。 「真希! 愛してる、めちゃくちゃ大好きだよ! 」 「うん、知ってるよ。私もハル君が大好き」 彼女の癖、照れると口元を隠す。愛しい、大好き過ぎて狂いそう。 「……結婚してくれないか」 あっ、何でそれを言ってしまったんだ。このタイミングで。 俺の馬鹿野郎。プロポーズはもっと特別な時にやるだろ。とびきりのサプライズをしてさ。 女性はそういうの大事なんだぞ。勢いだけで言うなよ。ああ、もう俺はなんて奴だ。 「うん、いいよ。結婚しようよ」 え? 聞き間違えた? いや、今の怒るところだよね。だっていきなり言ったんだぞ。 簡単に受け入れられるなんて。 「何で、ハル君が言い出したのに驚いてるの」 真希が俺の表情を見て大笑いしてる。 お腹を抱えるほど。 いや、あまりに可愛いから、つい言ってしまったんだよ。 「だって! プロポーズのタイミング違うだろ。もっとロマンチックな感じで……」 「私にとってはサプライズだったよ。今の」 「いや、まだ同棲し始めだし」 「いいじゃないの。結婚したって」 「簡単に言わないでくれよ。大事なんだぞ」 「私と結婚するの、しないの? 」 そんなのするに決まってるだろう。 まさかのタイミングになったが、男に二言はない。 「俺としては、もっとちゃんと用意したかったんだけど」 「うん。でもこれはこれで凄く嬉しい」 いくらなんでも、優しすぎるよ。 怒ってくれたっていいのに。 でも、よかった。まだ早いとか言われるかと思ったし。彼女が嬉しいなら、いいか。 真希と結婚したら……名字がお揃いになる。 手料理だって食べられるし。 何より大好きな人が毎日傍に居てくれるんだよ。これ以上の幸せがあると思うか? その幸せのためになら、俺は真希に一生を捧げられる。 いや元々、真希のためならば命だって惜しくなかったんだからな。 彼女と一緒にこれからを、歩んで行けるなんて。 誰にもこの幸せを邪魔されたくない。 だから一生をかけて幸せにするんだ。 ……藍来の分まで。 俺か優大さんか迷ってたはずなのに選んでくれた。 あの時を思い出す。 ーーハル君は私が守るーー たまらなく愛しいんだ。 俺が守られるのか。すごく安心するなって。 大切に思ってくれたんだって愛を感じた。 固く誓う。俺を愛してくれるなら、全力で守りたい。 彼女の何もかも、全て。 真希さえ居れば、俺は絶対に大丈夫。 強くなれる。
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