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げんなり...
二人で仲良く海の家に向かったまでは良かった。
賢介は大学生のバイトなのか日焼けした長身の爽やかイケメンな男の子にたこ焼きを二つ頼み、
「一つは青のり抜きでね」
と愛想良く頼んでた。
...女子か、とツッコミそうになった俺は、近くで飲み物も購入。
大きめなクーラーボックスいっぱいに氷と色んな種類の缶ジュースが入っていて自由に選んでお金を手渡す仕組み。
俺はコーラを購入したが、賢介はクーラーボックスを覗き込むなり、
「あれ?アルコールは?ビールが切れてない?」
「すみません、飲酒運転防止で置いてないんですよ」
丁重に説明しお断りされたが、
「海に来てビールが飲めないなんてなー。たこ焼きにも合うし。商売やる気ある?」
たこ焼きの屋台は順番待ちだから、先にコーラ飲んでた俺は横目で賢介を睨みつけた。
売店の子に食ってかかる彼氏、ホントやだ...。
番号を呼ばれ、気を取り直して、たこ焼きの受け取りにいった。
「ありがとうございました!」
たこ焼き2パック手渡してくれる青年の笑顔に癒される~。
のも束の間。
ほかほか焼きたてのたこ焼きの香ばしい匂いに酔いしれている隣で、
「...マジかよ」
「どうしたの?」
「...青のり抜きっつったのに、たっぷりかかってやがる...」
サービスのつもりだろうが...賢介は見るからに美味しそうなたこ焼きを睨み、
「あのバイト、文句言ってやる!」
「ちょ、ちょっと待って、賢介」
「なんだ?」
レジャーシートでたこ焼き片手に立ち上がる賢介を咎めた。
「確かにあの子のミスだろうけど、長蛇の列だったもん、大目に見てあげなよ」
大人気ない、と言ってしまいたい...。
「いや、ミスを見逃したらバイトの為にもならんだろ」
「....」
仕方なく賢介の後をついて歩いた。
たこ焼き屋は未だ、大人気で大賑わい。
「ありがとうございましたー!」
「いらっしゃいませ!」
額の汗を肩にかけたタオルで拭いながら、せっせと笑顔で接客し、たこ焼きを焼いてはパックに詰めて手渡している彼に。
「ちょっと!」
満面の笑顔で焼きたてのたこ焼きを手渡していた彼がこちらを向いた。ついでに周りまでもが賢介を見る始末...。
....恥ずかしい。
「青のり抜きで、て言ったよね!?」
...勘弁してよ、賢介。青のりくらいで。
爪楊枝が付いてるんだし気になるならシーシーしたらいいじゃん...。
「あ!す、すみません!すぐに焼き直しますので!」
「もういいよ!もう二度と失敗するな!いいか!」
...お前はあの子の上司か。
「本当に申し訳ありません。お代はお返し致します」
「当たり前だ!」
...当たり前なんだ?
本当、大人気ないな....青のりくらいで。
俺の方が恥ずかしいやら申し訳ないやらで額を抑えた。
「じゃ、行くか。気分悪くなったし、ひと泳ぎしよう、流星」
「...そうだね」
あの子の、というより、賢介のせいで気分悪くなった俺だけど。
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