第一章

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  「確かに八尋くんはそう言ったけど、わたしは納得してないよ! せっかく家も近いんだしさ、一緒に行こうよ。八尋くんの意見だけで決めちゃうのはずるいよぉ」 「あのなぁ。高校生にもなって、男子と女子が毎日二人きりで登下校してたら目立つだろ。俺は嫌なんだよ、周りからじろじろ見られるの」 「えぇー。気にしすぎだよぉ。周りの人はそんなにわたしたちのことなんか興味ないって」  乃々のことは嫌いじゃない。  むしろ大切な存在だと思っている。  友達としてというよりは、ほとんど家族の一員というか、妹みたいな感じだ。  年は同じだけど。  彼女の家は俺の三軒隣にあって、幼稚園の頃から家族ぐるみでの付き合いである。  だから今こうして会話しているのも普段通りの光景だった。  
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