魔法部隊への道

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「救護班、回復を急いで! 動けるメンバーは負傷者を支えながら移動を!」 「ユーリは!?」 「気休め程度かもしれないが、時間を稼ぐ」 「貴方だってさっきので魔法力を全部使っちゃったんでしょう!?」  リサが叫ぶ。  そのとおりだった。僕は指輪に残っている魔法力を詰め込んでしまっていた。おそらくリサも魔法力がほぼ空だろう。 「全員、生きることを最優先!」  僕は腰の剣を抜いた。ただの護身用の剣で何ができるのか? いや、何かできることをやるんだ。  空を見上げながら前方に進む。  竜がこっちを見たのがわかった。動く僕に目星をつけたのだろう。それでいい。  早く、僕がこいつを引き付ける間にみんなは逃げてくれ。  そう願ったときだった。  ドォン! という大きな地響きが起きた。  僕の指輪の爆発よりも大きな音が響いた。  同時に大きな火柱が立った。巨大な、空の巨大な竜を覆うほどの大きな炎だった。 「皆さん! 大丈夫ですか!?」  誰かの声がした。女の人の声だった。  土煙の向こうに、王家直属の魔法部隊を意味する鳥の紋章が縫い込まれた制服の姿が見えた。  援軍か。  竜が遠くへ飛び去っていく姿が視界の片隅に見えた。  歓喜に沸く仲間たちが見えた。これで大丈夫か、そう思うと急に身体に力が入らなくなり、僕の意識はそこで途切れた。
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