魔法部隊への道

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*  今、倒した竜とは比べ物にならない。僕たちを喰うことができそうなぐらい大きな竜だった。  仲間たちの何人が震えているのがわかった。 「ユーリ! どうする!? ここは撤退すべきじゃ……!」  赤茶の髪の女の子が僕へ進言してきた。  撤退? 「まさか……。想定外だから逃亡しましたとでも報告するのか? ミッション失敗になるじゃないか。そんなわけにはいかない……」  僕は左右を見渡しメンバーを確認する。 「僕たちは魔法部隊を目指す高等学院生だ! いつかは巨大竜とやりあう日も来る! それが少し早まっただけだ! 倒せる、僕たちなら倒せるはずだ! そうだろ、みんな!?」  僕の声にみんなが「おお」と手を挙げた。 「攻撃部隊、用意……」  先手必勝、僕は攻撃部隊に詠唱の準備を始めさせる……つもりだった。  巨大竜は六枚の翼を広げたかと思うと、一瞬にして降下を始めた。 「あの大きな竜は、いま倒した竜の母竜かもしれない!」  赤茶の髪の女が叫ぶ。  速い。  まずい。  僕は詠唱不要の風の魔法を投げつけた。こんな魔法で倒せるなどとは思っていない。少しでも足止めをして、詠唱の時間を稼ぎたかった。  しかし、竜は僕の風魔法が直撃しても怯むことすらなかった。竜はそのままこちらへ突っ込んできた。  どうする?  そんな答えを誰かがくれるはずもなかった。    竜はその大きな尾を振りかざし、それを横薙ぎに振ってきた。  防御魔法が追い付く間もなかった。    巨大な馬車にでもぶつかったかのような衝撃の後、意識が飛んだ。
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