魔法部隊への道

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* 「う……」  身体中が痛む。  全身に電流が走るように痛みが走る。おぼろげな視界の中で周りに仲間が倒れていることに気づく。 「グエアアアアア!!」  耳を通りぬけて、頭の中まで響くような叫びだった。目の前で巨大竜が叫んでいる。怒り狂ったかのような表情していた。小型竜が本当にこいつの子だったとするならば、文字通り、僕たちは逆鱗に触れたのか。 「攻撃部隊……?」  僕の声に攻撃部隊が応えることはなかった。全員、意識を失ったまま倒れていた。 「ほぼ全員、気を失ってるわ」  その声でハッとなり前を見ると赤茶の髪の女が立っていた。  立ってはいるが、彼女もまた怪我をしており、額から左目にかけて血が流れていた。  皆が動けないならば、と僕は呪文の詠唱を始める。竜は幸いにも少し距離を取った場所へと再び飛んでいた。  これでも食らえ。  僕は氷の渦を起こす魔法を放った。  弧を描きながら氷の矢たちが竜を襲う。  しかし、竜は口から何か波動のようなものを放ち、氷の矢はかき消されていった。なんとか何本かがその波動を擦り抜けたが、竜に命中しても何の効果もないようだった。  強靭な硬い皮膚を通過していないようだった。  こんなバカな。いまの魔法が通じないなんて。  攻撃部隊は総倒れで、他の部隊もほとんどが負傷している。僕の最大魔法も通じない。それなのにあの竜を倒す方法なんて――、 「……こんな状況……アリかよ……。どうしようもないだろ……こんなの、もう……」  膝から下の力が抜け、僕はがっくりと跪く。 「ユーリ、指揮官(あなた)がその先は言っちゃダメだよ」 「『無理』だ……!」  彼女の忠告に立ち止まらず、僕は言ってしまった。
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