もちもち!ベーグルサンドデート?

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ー遡ることその日の早朝 クスクスがキルシュに再びパンを作りたいと言うので一緒に作ることになっていた。 「ピクニックならサンドイッチが定番ですが…少し捻りが欲しいので、ベーグルでいきましょう。時間も短くて済みますし」 「サンドイッチって前ハムとチーズとレタスで作ってくれたやつだろう? ベーグルってやつで作ると美味しいの?」 「もちろんですよ!それにお腹にもたまるから食いしん坊も満足してくれます」 ベーグルはパンの中でもやや特殊なものだ。 粉に、塩、砂糖、麦芽シロップ。酵母は少なめだ。 水もやや控えめに。 それを捏ねる。 「これは叩くというより練るイメージで生地をなめらかにしていきます」 クスクスとアンナで分担しながら固い生地を練っていると、やっとつるんとなめらかな生地になる。 それをすぐに分割し、少しだえん型に整えて15分ほど休ませてから成形だ。 アンナはいつも通りの手際で生地をのすと、右の先のほうだけ綿棒で平たく伸ばした。 そして、左の先をそこにもってくると伸ばした部分で包み、リングを作る。 「こうやって輪っかを作ってください」 今回の生地は固めなのでやや成形の難易度が低い。でもやっぱりクスクスはアンナの腕には敵わない。 全てをリング状にしたらもう最終発酵らしい。 「本当にすぐにできるんだね!」 「ここからまたさらに特殊ですよ」 アンナはたっぷりのお湯を沸かし、そこに麦芽シロップを入れた。 何に使うのかと見ていると、なんと発酵して膨れた生地をぽとんとお湯に落としたのだ。 「ええ?!茹でるのかい?」 「これが最大の特徴です!ベーグルのもっちりの秘密ですよ」 さっと両面とも茹でると鉄板に並べ、窯に入れる。 「最後は表面をカリッと」 そして15分後、出来上がったのがベーグルだ。 一見いつものよくあるパンに見える。しかし持ってみるとずっしりと重く、表面は透明感があった。 冷ましてからサンド用に横に切ると、気泡が細かく、中が詰まっている。 「ベーグルはクリームチーズとの相性がいいんです」 そう言ってアンナは全てのベーグルにクリームチーズを塗った。 「これだけかい?」 「まさか!」 次に取り出したのは、サーモンの薫製だ。 それをクリームチーズの上におき、さらにピクルスとハーブを散らしてサンドする。 「もう半分は甘くしましょう」 「やった!そうでなくちゃ」 残り半分には果物を煮詰めて作ったジャムを塗る。この組み合わせはシンプルだけど、だからこそ完璧と言った感じだ。 そうして美味しいものを中に隠したリングがズラリと並ぶ。 これを青空の下で食べたら…さぞ最高の気分になれるだろう。 「きっと双子ちゃんもキルシュ様も喜びますよ!」 「へへっ、うん! それにノッカもね」 「そうですね、彼の好きなチーズをたっぷり使ってますからね!」 「僕、キルシュを迎えに行ってくるよ!お店の場所知らないから」 そう言ってクスクスはお店を飛び出した。
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