【完結】私のものを欲しがる異母妹には、大事なものは触らせません

15/31
前へ
/31ページ
次へ
 運転しながら、由紀也は説明した。 「優月からの着信に気づいてすぐにかけ直したけど出なかった。メッセージもあったけど、どうしても顔を見て安心したかった。行ってみれば、助けを求める優月の声が聞こえて来て、焦ったよ。無事で良かった」 「パパが……、たかしさんをへやにつれてきたの……、パパが………」  優月はショックから抜けないでいた。  いやがる娘を差し出そうとするなんて、父親のすることではない。  由紀也のマンションに着くと、改めて優月の顔を見た由紀也は息を飲んだ。 「左ほおが赤い。もしかして、殴られた?」 「パパに……、パパにぶたれたの……」 「ひどいことを……」  それから由紀也は冷やすものを取ってくると、優月の頬に当てた。  由紀也は、嗚咽する優月を抱きしめて、宥めるように背中を撫でていた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加