【完結】私のものを欲しがる異母妹には、大事なものは触らせません

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 短大のランチルームのテラス席で、優月は友人たちにドレスの一件について話した。 「麗奈さんって、ありえないわね」 「隆司さんもそんな人とはねえ」 「じゃあ、式はキャンセル?」  結婚式は、短大の卒業式の翌週、今から約一か月後だ。  招待している友人たちには衣装などの準備をさせてしまっているだろう。 「私はそうしたいわ、ごめんね、迷惑かけるけど。でも、パパは納得していないの」    友人たちは、口々に言う。   「お父さんの気持ちはわからんでもないわね。隆司さんは、優良物件だもんね。大手弁護士事務所のエースだし、高給取りだし、イケメンだし」 「条件は大事よね」  それは優月にもよくわかる。だから、市太郎が「頭を冷やせ」というのも優月を思ってのことだともわかる。 「でも、優月のことを守ってくれないなら意味ないじゃん」 「そこは肝心だよね」 (やはり、由紀兄さんみたいに守ってくれる人が良いわ)  隆司のことがあってから、優月は由紀也のことをよく思い出すようになった。 「案外、麗奈さんは、隆司さんを狙ってんじゃないの?」  友人の一人がひょんなことを言い出した。 「姉のドレスを着て自分をアピール?」 「そして、アピールに乗った男」 「あはは、お似合いのカップルじゃん」  優月はそれに首を横に振った。  確かに麗奈が隆司を狙っているように感じたときもあったが、今は歯牙にもかけていない。 「麗奈には御曹司の彼氏がいるのよ」 「えー、なにそれ、なんかイヤだね、それ」 「どうせ、麗奈さんに引っかかるなんて、大した人じゃないわよ」  優月ももちろんそう思いたい。嫌がらせを受けてきた身としては、どうしてもそう思ってしまう。  しかし、麗奈がわざとらしく優月に聞こえるように言うには、御曹司は、外見も財力も何もかも、隆司よりもずっと上らしい。そして、麗奈をとても大切にしてくれるのだそうだ。  まさに憎まれっ子世に憚るで、優月は不条理に腹が立つも、どうしようもない。 (家を出ればもう麗奈とも無関係だわ)
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