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芹の部屋で、冴島と芹はしばらく海外ドラマを観ていた。
こうしてただ一緒に時間を過ごすだけのことも少なくない。
「…芹さんは何故あの男と付き合っていたんですか?」
サスペンスドラマにおいて必要なのかよくわからないラブシーンを見ていると、ふと冴島が尋ねた。
「えっ?」
まさかそんな話をふられるとは思っていなかった。芹は目線を上に向けて2年前のことを思い出す。
「なんか、入学当初から妙に優しい人だなーと思っていたら、告白されたので。優しいし、今まで交際経験もなかったので、試してみるのもいいかなと」
「…なるほど。
アレが優しいですか」
イヤミっぽい口調だ。どこに向けた皮肉なんだろう。
「最初だけでしたね。1年も経つ頃には色気がないとか退屈だとか言われるし、今思えばなんか要求ばかりだったし」
「…ふうん…」
自分から聞いておいてなんて態度だろう。芹がムッとしたとき、冴島はリモコンを手にとって画面を消した。
そして芹の腰にスルリと手を回す。
セックスの始まる気配に、芹の身体は期待でそわそわとした。ドギマギしながら芹は髪を耳にかける。
「…不思議ですね、無性にイライラします」
「えっ」
「あの男が芹さんを雑に扱ったことも、それを受け入れた芹さんも…腹が立つ」
「そ、それは…どういう…」
冴島は芹の頬を撫でる。その官能的な指先に芹の身体は疼いた。
冴島の唇が芹の耳に寄る。
「…僕に芹さんを可愛がらせてください」
声が鼓膜に甘く響き、子宮にまで届く。
芹は催眠にでもかけられたようにふわふわとした心地でコクンと頷いた。
冴島はそのまま耳にその柔らかな唇を押し当て、耳たぶを口に含んだ。
耳への愛撫だけでじゅわりと蜜が自分の中から溢れたのを感じた。
冴島は耳孔にぬとりと舌を忍び込ませる。
生暖かなざらりぬるりとした慣れない感触、芹はくったりと冴島に体重を預けた。
耳を犯しながら、冴島の手が腰からもっと上へと伸び、ピクッと身体が震えた。
冴島はまとわりつくような指付きで芹の控えめな膨らみをまさぐり、服の上から敏感な先端を指の腹で撫でる。
「…あ…っ…」
こそばゆい快楽に芹の胸が上下にビクビクッと動いた。くねって冴島にすがる。
冴島は服の下へと手を入れた。
冴島はまるで美術品を扱うように慎重に芹の肌を愛でるので、芹は心地好くて綿菓子のような甘い吐息を漏らした。
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