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「ダメ。芹さん、気をやらないでください」
冴島が芹の顔にちゅっ、ちゅっとキスをふりかけ、意識をその場に止めさせた。
はっはっと呼吸を整える芹の頬をよしよしと撫でる。
「いい子ですね」
「冴島さん…おおき…んんっ」
冴島は芹をぎゅうと抱き締めながら奥をグリグリ刺激する。
冴島のモノは芹にとって未経験なほど大きく、息が詰まる。
「芹さんの性欲処理の役得ですね…あなたはこんなに可愛くて気持ちいい…」
ズルリ…冴島のものが引き抜かれ、そしてまたぐちゅりと詰め込まれる。
中がいっぱいで苦しくてそれでも、上回るほど気持ちいい…。
うねらせるような冴島の腰の動きは芹から言葉を奪い鳴き声を溢させる。
すっかり降りきっている子宮の入り口が何度も叩かれ、ひと突きごとに意識がチカチカ飛びかける。
中はもうずっと痙攣しているように冴島のものを締め付け、冴島はその感触を楽しむように時折ゆっくりと動く。
その緩急が芹の意識をギリギリのところで繋ぎ止めた。
泣きながら快楽に溺れる芹の唇を幾度となく冴島が奪い、侵入し、溶け合う。
酸素が足りない。
息の出来ない甘ったるい地獄…
最後の方はそんな概念だけが残されていた。
「…ダメだ…もうイキそう…。残念だけど…」
吐息と共に呟かれた救いの言葉に、芹はホッとしてしがみつく。
「も…むりぃ…おわってえ…」
お互いの境目のわからなくなるような深い深い口づけと共に冴島は芹の一番奥で果て、芹はようやく意識を失うことを許された。
…
翌朝、芹は冴島を睨み付ける。
「…何ですかその目は」
冴島は居心地悪そうに芹から少し距離をとる。
「あの時のセックスと全然違ったんですけど…!」
初めて触れあったとき、冴島の愛撫はそれはそれは優しくくすぐるようで、最後まで丁寧に扱ってくれた。
今回、雑に扱われたわけではないが…ここまでくると丁寧と言うより粘着質だ。
「そりゃあ…、初めての相手には僕も気を遣いますよ。それに今回は僕の趣向に合わせるのは合意の上でしたし」
「…それは、そうですが…」
「お気に召しませんでしたか?」
「そう言うわけでもないですけど…」
気持ち良かったのは確かだ。ただ、芹の想定や許容を遥かに越えていた。
「わからないなあ…。
まあ、今後関係を続けるかは芹さんにお任せします」
「続けますよ!続けますとも!」
自分で言い出して引き下がるわけにもいかず、芹はそう大声を出した。
「今回は僕の好きにさせてもらったので、次は芹さんのしたいことに合わせますよ」
淡々と業務連絡のように言いながら、冴島は腕時計をつけて身支度を始めた。
芹は馴染みだと思っていた冴島という男のことを何一つ理解していなかったのだと、実感した。
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