波紋

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 明日のこと、来月のこと、次の季節のこと。考えるだけなら私は自由だ。  残された何かを考えるときはいつも回数がついてきて、私は指を見据え、それを折って数えてみる。 「年内くらい? 年を越せると明確には……本人次第……」  あの日、ハッキリ分ったのは、残り時間。  誕生日にたどり着けるのはあと一回。  もう、あの雨の季節には出会えそうにない。  手のひらが近づいて顔を覆うから、私はもう指の本数を数えられない。  口角をあげて嗚咽は抑える事ができたのに、指の間から水滴がこぼれ落ちる。磨き上げられた病院の床に無駄にシミを広げる。  ぼやけた目ではそれが水たまりになったように見えた。 【了】
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