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第6話 友美の言葉
光一と美香の様子が送られてくる画像を見る度に胃が痛くなる。
動画◆◆◆動画
【2人は、まるで恋人同士のように部屋で寄り添って、濃厚なキスを交わしている。
「お義兄さんも可哀相だわ。あたしだったら、もっとお義兄さんを大切にしてあげるのにな」
若い体が、光一にしなだれかかるように全身を預けている。
「ああ、俺も清香じゃなくて、美香に先に会いたかったよ。あの女は結婚した途端、ブクブク太って、一気に老け込みやがって」
光一の台詞は、まるでゴミでも吐き捨てるような侮蔑を含んでいる。
「それに比べて、美香の肌はまるで赤ちゃんみたいだな」
本当に、赤ちゃんに触れてでもいるように、美香の肌に手を滑らせていく。
「美香が、赤ちゃんかどうか、お風呂で確認してみたら?」
美香は手を光一の顔に近付けると、人差し指だけで光一のアゴに触れる。
「風呂で?」
ゴクリと光一の喉が鳴る。
「風呂を入れてくるからな。待ってろ」
光一は美香を残して、風呂場へ向かう。
「○○○○○○○」】
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「┅┅」
最後の美香の台詞を聞いて、清香は絶句する。
この女は人間じゃない。
「これ、本当に妹なの?恐すぎるよ。見てこれ、鳥肌立っちゃった」
友美も、信じられないものを見たと、腕の鳥肌をさすっている。
「どこの昼ドラだよ。悪いけど、マジで最低な旦那と恐ろしい妹だな。これ、悩む必要ってある?どの辺に?」
友美は、こいつらには天罰が必要だと騒いでいる。
「ううん、徹底的に痛め付けてやろう。私は何をすればいい?」
美香の最後の台詞で清香の腹は決まった。あいつらは犬畜生にも劣る。
清香の目から、希望と言う光が失われていく。
「おばさんに、妹の見合い相手、それもお金持ちを探してもらって。私も周りに女と遊びたい金持ちがいないか探してみるから」
友美は、手帳のメモ欄を出すと計画を練っていく。
「部屋中にカメラ仕掛けて、お風呂もベランダも全部。社会のゴミは根絶しましょ。編集は私に任せて。プロだから」
友美は、光一と美香を社会の敵と判断したようだ。
「うん、任せる」
「そうだ。調査会社に依頼してるよね?物凄い高いって言うけど、本当?」
「物凄い高いよ。人1人使うのって、簡単に何十万って消えそうだよ」
深いため息をつく。
「無料ってわけにはいかないけど、私の弟と弟の友達を安く使うのはどうかな?」
「助かる~」
願ってもないと直ぐに了承した。
「あと、清香の為に言うから、傷付くこと言ってもいいかな?」
「復讐の為なら何でも言って」
清香はどんな酷い言葉も、光一と美香にやられていることに比べたら何でもないと思う。
「会社辞める前は、痩せてて美人だったよね?フィットネスでもエステでも通って、出来るだけ元に戻して」
心を鬼にして、清香の為にキツイ言葉を投げかける。
「それが傷付くことか。ヒック、ヒック」
やはり傷付いたのか大粒の涙を流して、泣き出してしまう。
「ごめん、酷いこと言って。でも」
清香を泣かせてしまったと、友美の胸も痛んでいた。
「違うの~嬉しくて。私の為にそんなこと言ってくれるの友美だけだから。そんな優しい言葉聞いたの久しぶりだよ。ヒック」
清香は、友美が心から忠告してくれているのが分かった。
「私、本気で痩せるから、見てて。貯金全部使って」
「ストップ。結婚してるんだから、旦那のお金でエステくらい行っちゃえば」
「うん、でも月に5万しかくれなくて、そこから保険とかも払ってるから、カツカツなの」
「甲斐性までないのか」
友美の怒りは爆発寸前だった。
「とにかく昔の自分に戻れるように努力するよ」
「うん」
清香と友美は、自然とテーブルの上で手を合わせて、社会のゴミを片付ける為に作戦を立てていく。
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