勇者結婚譚

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 そのとき、アレンがダイニングにやってきた。  腕に大きな花束を抱えている。  アレンはぼんやりとしているミオの前に来て、跪いた。 「ミオ、俺と結婚してほしい。ミオのことが好きだ」 「え…」 「いつ言おうかって、ずっと踏ん切りがつかなくて…ユリウスに叱られるとは思わなかったけどな。泣かせてごめん」  ミオはまた涙を流した。花束をうやうやしく受け取ると、ミオはゆっくりと訊いた。 「私でいいの?」 「ミオじゃなきゃだめだよ」   アレンはミオを椅子から下ろし、抱き抱えると、 「このまま、みんなに紹介しに行こう!この人が俺の妻だよって」  と行って出窓へ走っていく。 「えっ…ちょ、ちょっと、アレン!」  そう言って、アレンはミオを抱えて出窓を開け放った。  ユリウスはその背中を見送る。     国民から拍手喝采を浴びるふたりの後ろ姿は、喜びの涙でユリウスの目には少し霞んでいるように見えた。 END
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