勇者結婚譚

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「でー、これから俺たちはそれぞれの仕事をするわけだけど。アレンは国王になるわけで、俺はそのお仕え。ミオは…」 「私は、国立図書館の館長」  そう言ったパーティーの中に微妙な空気が走る。アレンもそうか、と言ったきりだが、紅茶を飲む手が震えている。  ユリウスはしばし黙ったまま、こう言いたいのを抑えていた。 ーーいや、お前はアレンの嫁だろ!!!  このふたり、アレンとミオはユリウスの目から見てどう見ても両思いである。    だが、アレンは戦いに関しては勇猛な割に、こと恋愛となると非常に奥手だった。  ミオも、魔法の知識はバカみたいにあるくせに世間知らずなところがあり自分の気持ちにいまだに気づいていないように見える。  魔王討伐に向かっていたころは、恋愛なんてする暇がなかったが、もう平和は取り戻された。お互いを支えてきたふたりはそろそろ結ばれてもいいころである。  ユリウスはなにも言い出せずにいるアレンに変わってミオに言った。    「あのさー、ミオも魔法書に携わりたいって気持ちはわかるんだけど。もっとふさわしい役職があると思うんだよな!俺は」
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