と・く・べ・つ♪9

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 親父と母さんのご先祖様は生前付き合えなかったけど、あの世でパートナーとなっている。 「でね、僕が彼女を抱き締めてさぁ」 「やはり私のご先祖様も一途なのですね!」 「あなたのご先祖様だけあるわぁ」 「私だって一途だから!」  ……恋バナしてる。昔、親父のご先祖様はしょっちゅうブチ切れていたのに、母さんが来るようになってから全然キレない。パートナーの前ではいいカッコしたがるんだ。親父のご先祖様だなぁ。  タッくんと五丁目さんは今年もご先祖様と連れ立って屋台巡りに向かった。火の玉も食べ物食べられるし、金魚すくいや射的できるから、ご先祖様と連れ立つ子孫もあちらこちら見かける。この宵宮ならではの光景だ。  げたんわくんのご先祖様は去年リクエストしたメロンを食べながら双六をやっている。メロンを食べているのはげたんわくんのご先祖様だけじゃない。うたうものさんのご先祖様、はろんさんのご先祖様、更紗さんのご先祖様、束砂さんのご先祖様がげたんわくんの持ってきたメロンとうたうものさんが詰めてきた折り詰め食べながら双六している。 「こういうのもいいでしょ?」 「だねぇ」  どうやら双六持ち込んだのはうたうものさんだ。宵宮にボードゲーム持ち込むとか、前衛的だな。  良くんのご先祖様は、良くんの自撮りを見せられている。 「気になるんだが、男のときの姿はないのか?」 「どうせ見せるなら可愛いほういいじゃんか!」  良くん、ご先祖様に残念そうな顔させてるよ。君の残念はもう治らないだろうけど、男は捨てるなよ?  香多くんとこは、ご先祖様に親父の話をしている。 「分かる!? ずっとへんたいで紳士なおじさまが翡翠くんという子ができてから紳士寄りのへんたいになったんだよ!?」  ご先祖様も苦い顔してる。心配だろうなぁ。香多くんも浮いた話ないけど、親父ではないだろうけど、知らんおじさんのお嫁に将来なってそうで俺も怖い。  本乃社長はどうかな? と見てみたら宵宮のカラオケステージでご先祖様とデュエットしてる……。どんだけ目立つの好きなんだよ……。  風くんと水くんは、冒険家のご先祖様の冒険譚を目をキラキラさせながら聞いてる。大航海時代のご先祖様とかカッコいいよなぁ。  翡翠も歴史学者のご先祖様と時代の話をしている。 「今ね、南北朝時代のアニメやってるんだよーー!」 「へぇ! それは気になるね! どんな話?」 「あのねあのね!」  めっちゃ楽しそう。にょんたんず見てると心が癒やされるよ。ちょっと変な人たちに囲まれているから。
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