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「年齢的に上に見られるみたいだ。その方が都合もいいんだ」
「ふーん。まあたしかに落ち着いて見えるし似合ってなくもない。ワイルドで色気があるともとれるな」
「色気……?」
謙吾は驚いたような顔をして髭面の顎を触っているが、実は私もそう思った。
最後に会った時も、今まで避けられていた女子に囲まれたのは、謙吾のスペックだけでなく、大人になって出てきた色気のようなものを皆が感じたからではないかと。そう、私を抱いた時にも感じたそれだ。
「俺とは無縁の言葉だと思うが……」
「そうか? だってお前、六車の三男だし、そのワイルドな雰囲気でモテるだろう?」
「まさか。女にはあいかわらず避けられてる」
彼女はいないってこと?
あれから7年の年月が経っていた。きっとその間には女性の出入りがあったのかもしれないが、今はいないということかな。
西田くんと三人で喋ったことがきっかけで、その後の謙吾との会話は思った以上にスムーズだった。
7年という年月は長かったからかもしれない。あの時のショックや怒りはすっかり収まり、気の合う友としてもう一度付き合えるのではないかと思った。
それから私たちは、何もなかったかのように二次会で同級生たちと盛り上がり、友情を復活させた。
そして現在に至る。
結婚の話を出したのは、今ではすっかり友人に戻ったからなのか。はたまた、何かを感じてほしかったからなのか……。
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