プロローグ 〜6年生の担任です〜

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プロローグ 〜6年生の担任です〜

「先生さようならー」 「さようなら……あ、井田君! 明日は算数の宿題どうするんだった?」 「えっとー、今日の分と、昨日の分どっちもやってくる」 「はいそうです。やってこなかったら運動場10周ね」 「えー!? なんでだよー!」 「約束を守れなかったらペナルティは当たり前。大丈夫よ、先生は優しいから一緒に走ってあげる」    そう言ってにっこり微笑みかける。ひるむ井田君に笑顔で圧力を。   「やるわね?」 「……はい」 「ちゃんときれいな字で書いているかもチェックするから」 「……わかったよ」 「言葉遣い!」 「わ、わわ、わかりました! ちゃんとやってきますっ!」 「はい、よろしい。じゃあ気をつけてねー」    ランドセルを背負い、猫背になった井田君がすごすごと帰っていく。私よりも高い身長にもかかわらず、随分と小さく見えるな。  
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