保健室で相談を

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保健室で相談を

「おもしろーい! 見せて見せて!」 「これです」 「わ、糸先生可愛く撮れてるじゃない」 「あ、それは……」  週明け、私は空き時間に小学部の保健室を訪れた。  この聖堂館学園小学部の保健室は、教師たちの憩いの場になっているのだ。具合の悪い生徒が寝ていない限り、大抵は誰かが保健室の主であるメグ先生こと藤田恵先生に会いに来ている。  メグ先生もこの学校の卒業生で、私の5つ上の先輩だ。    ラッキーなことに誰もお客さんが居なかったので、私は婚活アプリに手を出した話を聞いてもらっていた。   「本当は自然光の方がいいみたいなんですけどね。まあ室内でも自撮りで撮るよりはマシかと思って、撮ってもらいました」 「婚活アプリ、流行ってるんだよねー。秋吉先生も言ってたわ」 「まさにそれです! 秋吉先生のオススメでこのアプリを入れたんです」 「なるほど。面白いわねー。こんな出会いもあるんだ。勉強になるわ」    いやいや、そんな勉強、本来ならいらないんだけどね。  メグ先生は聖堂館の1つ上の先輩と幼馴染婚をしている。小さい頃からお互いが唯一の存在だったと聞いているから、婚活アプリなんて縁のないものだろう。    ちなみに、小学生と幼稚園の子がいるママさん先生で、とても30代半ばには見えない。色白でキュートな見た目の彼女は若々しく、独身に見えるくらいだ。  
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