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「ねえ、このイイネの数って」
「それは……コホン。私のプロフィールを見て興味を示してくれた男性の数です」
「え、すごいじゃない! 糸先生407個も付いてるよ!」
私にとっても衝撃的だった。
一般的には100を越せばいい方で、407はかなり多い方なんだそう。もちろんアプリによって母数に差はあると思うが【婚活ステーション】のクチコミを見ていると「201個もイイネを頂いて驚いています! 普通の倍ある〜」とあったから、私はさらに倍あるということだ。
「びっくりですよ。この歳までモテたことなんて一度もなかったのに、三十歳目前にしてついにモテ期が来たのかしら? ……と言っても、婚活アプリ上のことですけどね」
そうそう。これが現実とは思えない。
「この写真、いいわね」
「え?」
「糸先生、元々とっても美人さんだけど、これはなんていうか……きゅんとしちゃう可愛さだわ」
「きゅ、きゅん!?」
なんだか私には無縁の言葉だ。
「これ、誰が撮ったの?」
「え……それは……」
「お友達かしら? こういう表情を引き出すお友達って……男性?」
なぜわかった!?
「ふふふ、その顔だと図星みたいね。その人は、婚活アプリに登録したって知ってるの?」
「知ってるも何も、目の前で登録したんですよ」
そこで私は白蛇男との見合いから登録に至るまでをかいつまんで説明した。
「従弟に聞いたとか言って、やたらと婚活アプリに詳しいんですよ」
「ふうーん……。糸先生とその人との関係性は?」
「え……だから聖堂館の同期で」
「だけじゃないでしょう? 糸先生、その彼のこと好きなんだ?」
「うっ……」
なんでわかった?
一言もそんな話してないのに。
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