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「この写真よ。だってこれ、好きな人を見る目だと思うのよ」
「えぇっ!」
「自覚ないのね。恋する女の子の表情は可愛いわ。それがそのままここに出てる。だから沢山イイネがついているんじゃない?」
「……」
「で? その人のことが好きなのに、婚活アプリでマッチングするの?」
「いや、それは……。そこから先は有料なんです。イイネをくれた中で、最も相性の良い相手とメッセージのやり取りをするには」
「なるほど」
「悩んでます。というか、有料云々じゃなくて、くそ真面目な性格が邪魔して勇気が出ないというか……」
イイネの数は素直に嬉しい。
でも、それが私のやりたいことなんだろうか。
「……その人と何があったのかは聞かないけど、結婚って多くの人にとっては一生に一度のことだと思うの。私は心から好きな人と一緒になるべきだと思う。糸先生が『真面目な性格が邪魔して』って思っているのはもちろんそれもあるだろうけど、そうじゃないでしょう。好きな人がいるから先に進めないのよ」
「……」
あまりにもズバリと言われて反論の余地もない。
そこで私は初めてあの時のことを他人に話してみた。今まで学生時代の親友にさえ話したことのない、私の黒歴史だ。
メグ先生に話したら、ひょっとしたら今のこの状況から抜け出せるのんじゃないかと、一縷の望みをかけて。
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