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言い訳 side謙吾
「どういうことかな。説明してくれる?」
「うっ……」
まさかあんな形でバレるとは。
両親達を見送った後、スイートに戻り、今現在キングベッドの上に正座させられている。
糸とうまくいって、すっかり婚活ステーションのことを忘れていた。
「目の前でアプリをインストールしたのよ? その後だって言う機会はあったでしょ!」
「はい、すみません……言いそびれてました」
「自分の会社のアプリに登録した私を、面白がって見てたんだ」
「いや、違う! そんなこと思ってない」
「じゃあ何よ!? マニュアル通りにしたらイイネが沢山つくことを私で試したかったの?」
「いや、それは……」
「だからあんなに詳しかったのね」
うぅ。詳しかったのは事実だ。
俺がマニュアルを作ったのだから。
だが……。
「たとえ、全部俺の言う通りにプロフィールを作り上げたとしても、508個もイイネがつくことはない。それはひとえに糸が可愛いからだ」
「……写真も謙吾がアドバイスくれて、謙吾が撮ったんだけどね?」
「いや、被写体の問題だろう!」
どう言っても糸のお小言は止まらない。
今は毛を逆立てて怒っている猫のようだ。
俺が悪いのだが……。
「ハァ……いいわ、聞いてあげる。ちゃんとまともな言い訳をしてみなさいよ」
さすが教師。理由は聞いてくれるようだ。
これは観念するときがきた。俺は仕方なく、自分がマッチングに参加しようと考えたことを話した。
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