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「ドリンクなくなっちまったな、何か飲むか」
その目は「面白いやつ」と言いたげに笑っている。僕も肩の力を抜いて、背の高い彼の後を追いかけた。
つまらない隠し事はなしにしよう。二杯目のドリンクを前に、僕は一成に悩みを打ち明けた。
「ずっと、僕という呼び方は丁寧でいいと思ってきた。だけど、もっと自己主張を強くしないと、自分が分からなくなってくる気がして」
「それで、一人称を俺に変えたくなったのか?」
「高校ではあだ名が『メガネ』になったんだ。でもコンタクトレンズに変えたら、みんなは何て呼ぶんだろう。はっきり言えば、イジられキャラにはなりたくないんだ」
他人に流されている。そんな自分をごまかすように、僕はストローでメロンソーダを吸い上げた。
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